メダカラ・チャイロキヌタの定点観測

真野 進
(2010.12.01)

 タカラガイの平均殻長がどのような因子によって影響されているかを探るために、過去にほぼ一年間、月一回、一定場所でメダカラとチャイロキヌタの打上殻を採集し測定を行いその値が徐々に小さくなって来ていることを観察しました。。打ち上げ殻の性質上生息している貝の変化を直ちに表す訳ではなく、いわば移動平均的な値と考えられますが、それにしてはその変化が大きい様にも思われ、年一回の観測を継続することとしました。

 
方法    
  採集地(Location) 三浦半島、荒崎
  採集法 決めた範囲の打上貝を全量拾う。
  測定法・測定項目  

 測定結果

2003年11月より2010年11月までの測定結果を下表に示す。(単位: 個、mm)

採集年月日

メダカラ チャイロキヌタ
個数 殻長 殻幅 殻高 個数 殻長 殻幅 殻高
03/11/15 1142 14.8 8.9 7.1 355 14.9 8.9 7.2
05/10/20 1500 15.0 9.0 7.2 574 15.0 8.9 7.3
09/11/9 537 14.9 9.0 7.2 212 14.7 8.8 7.2
10/11/11 449 14.6 8.7 7.0 182 14.5 8.7 7.1

 

size
number2005年に最大個数となりその後極端に減少している。これが生息数の減少によるものか、あるいは周辺海域の潮流の変化によるものかは不明である。ただ、2005年には上図のように殻長も大きくなっておりこの時は環境がメダカラ、チャイロキヌタにとって良好だったとも考えられ、とすると殻長の低下、打ち上げ数の減少は環境の悪化ととらえられる。
 

あとがき
 2種のタカラガイで共に殻長が小さくなり、打ち上げ数が少なくなる傾向にあります。この事は、ある種の遺伝因子よる変化と言うより、海の環境変化と考えた方が良いでしょう。
これからも観察を続けて行く予定ですが、今後殻長が大きくなる、打ち上げ数が多くなると言う様な変化がくるのでしょうか。