キイロダカラ(3)
徳之島・金見崎の貝

真野 進
(2002.09.16.)

徳之島の礁湖内でキイロダカラを採集した。此処は干潮時には1m以内の水深になるがすっかり干上がることもない所で、棲息数は非常に多多かった。

方法
採集日(Coll. Date) 2002年7月8日ー7月11日
採集地(Location) 徳之島・金見崎 北緯 27度57分
採集法(Materials) 礁湖内、水深20cm〜1m
測定法・測定項目

結果及び考察

 測定結果

個体数
(N)

殻高(L)mm

伸長度(L/W)

扁平度(H/W)

歯数(Teeth)
Juvenile
(%)
Mean ± SD Max Min Mean ± SD Mean ± SD 内唇(C) 外唇(L)
127 20.7 ± 2.28 27.0 15.8 1.28 ± 0.052 0.62 ± 0.027 11.9 11.9 0

1.サイズ(L)
size
 
最大27.0mm、最小15.8mm、平均20.7mm、標準偏差2.28であった。
この値は、前報、石垣島の貝の平均に比べて大きく、この二カ所に関する限りは北方大型説に従っている。
2.伸長度(L/W) 
elongate
最大1.47、最小1.14、平均1.26、標準偏差0.052であった。この値はモルジブ、石垣島の値と比べ、小さく、南方型、または老成か進んだ形をしている。
3.扁平度(H/W)
depressed
最大0.72、最小0.51、平均0.62、標準偏差0.027であった。この値も伸長度と同じく、南方型、または老成が進んだ形を示している。
4.歯数
teeth
内唇歯9ー14、平均11.9、外唇歯10ー15、平均11.9個であった。
5.未成貝
junenile%
今回測定に用いた個体の中には、未成貝は含まれなかった。
6.色・形の変異 Fig.2に色の変わった個体を示す。白色に近いものから濃い黄色の個体まで様々である。
Fig.3に形の違った個体を示す。左からハナビラダカラのようなリングが濃い個体、次の二個体は背に異物を巻き込んだ個体、右側の二個体は左右対称が著しく崩れた個体。

Fig.2

pcol
Fig.3 pvar
7.断面 Fig.4に、フシダカ型の各種形態を示す。
Fig.4 pno1
pnob2

あとがき
 石垣島の経験を生かして、今回は可成り広い範囲を探ってみました。結果としてサンゴ礁では、ハナビラダカラは最も岸よりに、キイロダカラはそれよりもやや沖めの岩の窪みに、ハナマルユキはリーフの先端に多く棲息することが分かりました。
サンゴ礁が発達していないような海では、どのような棲み分けがなされているのか興味のあるところです。
また、徳之島の個体は石垣島よりもフシダカ型が多く、未成貝も見付からなかったことから、棲息環境がキイロダカラに適しているのか、成長が早いのかどちらかかと考えられます。