カモンダカラ(1)
三浦半島の打上貝

真野 進
(2001.01.08)

カモンダカラは、房総、能登半島以南、インド・太平洋に分布し潮間帯の岩礁に棲息する。(コレクション大図鑑 菱田)。カモンダカラは、カモンダカラ、インドカモンダカラ、アフリカカモンダカラ、ホシカモンダカラ、ハワイカモンダカラの5亜種に分類され(A Guide To Worldwide Cowries Lorenz & Hubert 2000)、本邦で産するものはカモンダカラである。
 三浦半島ではやや少ないとされる(潮騒ガイドブック 2)が、打上貝はハナマルユキと同程度には拾える。ハナマルユキに較べ磨れは少なく、比較的綺麗な状態で拾えるが新鮮なものは少ない。
 
 今回は、 三浦半島で拾った打上貝について調べた。
方法
採集地 三浦半島。
一カ所で多く拾うことは出来ないので幾つかの海岸のものを集めた。 
採集法 採集した打ち上げ貝28個の内から比較的状態の良い10個を選択。
測定法・測定項目

結果及び考察

今回のサンプル個体の背面(写真1)、腹面(写真2)を示す
写真1

 おおむね、濃い茶の地に白点を散らした模様が美しい。地の茶色も焦げ茶のように濃いもの(No.7,27)から赤茶色(No.24)まで変異がある。白点は、はっきりしたものと、不明瞭なもの(No.1,28)があるが磨れによる変化かも知れない。底縁の張り出したものは見られなかった。
写真2

 歯は良く発達し、赤褐色で歯間の方が色が濃い。底面の色は若い貝(No.21,20,28)で淡いが、老成により濃くなるのかどうかは不明である。

これら貝の大きさ等について測定した結果を下表に示す。 

No 殻高mm 殻径mm 背高mm 伸長度 扁平度 内唇歯数 外唇歯数 未成貝
21 17.0 11.1 8.6 1.53 0.77 14 16
25 18.6 11.2 8.9 1.66 0.79 15 16  
20 19.9 12.9 10.6 1.54 0.82 15 15
7 21.0 14.2 11.0 1.48 0.77 16 16  
1 21.5 13.7 10.9 1.57 0.80 15 18  
28 21.7 14.1 11.3 1.54 0.80 15 17
27 22.0 14.7 11.6 1.50 0.79 17 17  
6 22.1 14.4 11.3 1.53 0.78 16 16  
26 23.4 15.3 12.6 1.53 0.82 15 15  
24 26.0 16.2 12.4 1.60 0.77 13 17  
平均値 21.3 13.8 10.9 1.55 0.79 15.1 16.3  
標準偏差 2.49 1.64 1.31 0.051 0.019 1.10 0.95  
MAX 26.0 16.2 12.6 1.66 0.82 17 18  
MIN 17.0 11.1 8.6 1.48 0.77 13 15  
殻高 : 殻高  最小17.0mm、最大26.0mm、平均21.3mm、標準偏差2.49 で、三浦半島での記録15-28mm (潮騒ガイドブック 2)の範囲内にある。また、前述の "A Guide To Worldwide Cowries" のSize Rangeは8-37mmとなっている。
伸長度:
(elongate)
伸長度 最小1.48、 最大1.66、平均1.55、標準偏差0.051で、ハナマルユキに較べればelongateだが、メダカラ等に較べ明らかに値が小さく、卵形(oval)をしている。
扁平度:
(depressed)
最小0.77、最大0.82、平均0.79、標準偏差0.019であった。
内唇歯: 最少 12個、最多 17個、平均 15.1個であった。
外唇歯: 最少 14個、最多 16個、平均 16.3個であった。

あとがき カモンダカラは、その美しい色合いと模様もあって浜で見つけたときは嬉しいのですがメダカラ、チャイロキヌタ、ハナマルユキのように分類上の問題もなくやや物足りなさを感じます。あとは、新鮮個体の採集と個体による変異の観察くらいでしょうか。