メダカラ(17)
三浦半島・城ヶ島の打上貝

真野 進
(2001.11.20.)

ほぼ一年に渡り三浦半島各海岸のメダカラを測定してきたが、城ヶ島については以前、充分な数の標本を拾うことが出来ずにデータが欠落していた。この度、どういう訳か多くのメダカラを拾うことが出来たので測定しその欠落を埋めることにした。
方法
採集日(Coll. Date) 2001年9月24日
採集地(Location)

三浦半島、城ヶ島の馬の背(含む赤羽)と安房崎の浜を分けて採集した。

採集法 打上貝を拾う。(Beached)
測定法・測定項目

結果及び考察

 測定結果

  馬の背
  安房崎

産地
(Location)

採集日
(Coll. Date)

個体数
(N)

殻長(L)mm

伸長度(L/W)

扁平度(H/W)

歯数(Teeth)

Juvenile
(%)
Mean ± SD Max Min Mean ± SD Mean ± SD 内唇(C) 外唇(L)
馬の背 '01.09.24 222 16.4 ± 1.99 23.4 11.6 1.66 ± 0.047 0.80 ± 0.015 14.9 15.0 2
安房崎 '01.09.24 175 16.2 ± 1.96 20.8 11.8 1.66 ± 0.047 0.80 ± 0.016 14.8 15.1 6
1.殻長(L)
size
 
城ヶ島は地理的には三浦半島の最南に位置し、黒潮の影響も受けやすいように考えられるが、東京湾から流れ出た潮流が此処を通って相模湾へ流れ込む通り道にもなっており状況は単純なものでは無さそうである。今回の測定結果も近くの、諸磯、大浦などよりも小さく(総合表)、長浜、三戸より大きい傾向を示した。
馬の背、安房崎の比較は、上表に示したとおり同じ値となった。ただ最大値は、馬の背が極端に大きかった。
分布図 城ヶ島・馬の背城ヶ島・安房崎
2.伸長度(W/L) 
elongate
両海岸とも1.66と平均的な値を示した。
3.扁平度(H/W)
depressed
この値は、どの海岸でも同じ値を示している。(総合表)
4.歯数
teeth
両海岸とも平均的な歯数であった。
5.未成貝
junenile%
未成貝と思われる個体の割合は、2ー6%と少なかった。今年の夏の幼貝、未成貝の打上への参加はもう少し後になる可能性がある。

あとがき
 相模貝類同好会の渡辺政美さんの報告によると、三浦半島長浜では、9・10月とタカラガイの打上が異常に増えてきているとのことです。今回、城ヶ島で多くのメダカラが拾えたのも同じ現象かも知れません。
打上が増える原因は、a.生息数が増加した、b.死亡率が増加した、c.海岸付近の潮の流れが変わり海底に溜まっていた死殻が打ち上げられた、等が考えられますが現在のところいずれかは不明です。今後、何ヶ月かのデータが出ればあるいは原因が分かるかも知れません。興味深いところです。