葉山しおさい博物館の「潮騒だより No.5 1994」に載った「三浦半島産メダカラガイの最大・最小」(渡辺 政美)によれば、三浦半島のメダカラは荒崎あたりを最小として葉山寄りは少し大きく、東京湾口側の金田湾ー野比で最大になるとのことである。(表1 参照) このメダカラのシリーズでも金田湾で大きくなることは確かめられたが、長浜海岸より北ではまとまった数の打上を拾うことが難しく、これを確かめる事が出来なかった。今回、荒崎で打上場所を見つけることが出来たので測定した。
方法 | ||
採集日(Coll. Date) | 2001年5月22日 | |
採集地(Location) | 三浦半島(Miura Pen. )、荒崎(Arasaki) | |
採集法 | 打上貝を拾う。(Beached) | |
測定法・測定項目 |
結果及び考察
1.サイズ(L) size |
最大21.6 mm、最小12.3mm、平均16.1 mm、標準偏差1.75であった。 平均値は三戸、長浜よりやや大きかった。 「三浦半島産メダカラガイの最大・最小」(渡辺 政美 潮騒だより No.5 1994)では、荒崎が一番小さくそれよりも北、南で大きくなるが、このReportシリーズでは黒崎、長浜が最小値を示した。(表1、表2) |
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2.伸長度(W/L) elongate |
最大1.81、最小1.52、平均1.67、標準偏差0.047であった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
3.扁平度(H/W) depressed |
最大0.86、最小0.77、平均0.81、標準偏差0.016であった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4.歯数 teeth |
内唇歯12ー19、平均15.4、外唇歯12ー18、平均15.3個であった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
5.未成貝 junenile% |
未成貝と思われる個体数をカウントしたが、147個中7個、5%であった。 |
あとがき
表1の平均は1990年ー1991年採取のデータだそうです。私の2000年11月から2001年5月までのデータ(表2)と比べると全体的にやや大きい傾向が見られます。また、海岸毎の比較ではややずれが見られます。これらの変化の原因としては、黒潮の流れ方の変化が考えられます。1990年は、日本本土側を通る、直進型の流れが1年以上見られなかった年で、1996,7年頃は年間250日以上この直進型が見られたそうですが昨年から今年にかけては蛇行が続き、直進型は見られていないとのことです。すなわち、今年は1990年とよく似た状況にあると言うことになります。このまま行くと、今年の冬には全体的に少し大きくなると予想されますが結果が楽しみです。
このような黒潮の大きな変化が、メダカラの大きさ、発生数などに影響を与えているのではないか、等と考えるとこのメダカラ探しもなかなか奥の深いものに思えてきます。