三宅もどき氏より、柏崎・宮川海岸のメダカラを提供されたので他の海岸と同様の測定を行った。また、このサンプルは2001年2月18日と、3月11日に採集された二日分に別れていたため、別々に測定を行い、サンプリングの偏りの有無を検定した
方法 | ||
採集日(Coll. Date) | 2001年2月18日、3月11日 | |
採集地(Location) | 新潟・柏崎(Niigata Pre. Kashiwazaki)・宮川海岸 | |
採集法 | 打上貝を拾う。(Beached) | |
測定法・測定項目 |
結果及び考察
採集日
(Coll. Date) |
個体数
(N) |
殻高(L)mm | 伸長度(L/W) | 扁平度(H/W) | 歯数(Teeth) | Juvenile (%) |
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Mean | ± | SD | Max | Min | Mean | ± | SD | Mean | ± | SD | 内唇(C) | 外唇(L) | |||
01.02.18. | 146 | 16.2 | ± | 2.12 | 20.3 | 10.8 | 1.65 | ± | 0.055 | 0.81 | ± | 0.016 | 15.4 | 15.7 | 3 |
01.03.11. | 155 | 16.4 | ± | 2.20 | 21.9 | 10.3 | 1.66 | ± | 0.058 | 0.81 | ± | 0.015 | 15.3 | 15.7 | 6 |
1.サイズ(L) size |
北方大型説から行けば、三浦半島や、房総半島よりも大きいかと予想されたが、館山湾のメダカラとほぼ同じ大きさで、今までの中では中等度の大きさであった。ただ、最小個体が10.3mmと最小記録サイズとなった。 2日分の平均値の差は0.2mmと少なく、有意の差とは認められなかった。このことは150個程度のサンプルが有ればサンプリングの偏りを防ぎ、その海岸の母集団を代表することが出来る事を示唆していると考えられる。 但し、サンゴ礁の貝類資源【2】タカラガイ類(その2)、表4 沖縄本島南部、港川の礁原で採集されたハナビラダカラの殻長分布の経時変化(山口 1992)にも有るように、採集時期によるサイズの変化も考えられるので余り時期の異なるサンプルを扱うことにはその目的によっては、危険性を伴うであろう。 Fig.1にその分布図を示す。 |
2.伸長度(W/L) elongate |
三浦、房総の各海岸の値とほぼ同じである。 |
3.扁平度(H/W) depressed |
この値は、どの海岸でも同じ値を示している。 |
4.歯数 teeth |
この値は、一番環境に影響されず、遺伝的な特性を示すのではないかと考え測定しているが、海岸毎の特徴を考察するにはまだデータが不足している。 |
5.未成貝 junenile% |
未成貝と思われる個体の割合は、3〜6%であった。 この値も、タカラガイの生活史を推察するのに役立つと考えているが、実際にはどの個体を未成貝とするか判定に苦しむこともあり、意味のあるデータとなるかどうかは今のところ不明である。 |
6.写真 | 柏崎・宮川のメダカラとして、比較的磨れの少ない個体の写真を示す。ほぼ平均的な、gracilis japonicaの特徴を示している。変わった個体としては、No.100の外唇の色、今回の測定には加えなかった未成貝の茶色があげられる。(Fig.2) |
Fig.2 |
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あとがき
三宅もどきさん、柏崎のメダカラを有り難うございました。なるべく多くの海のメダカラを測定して、日本のメダカラが海外のメダカラと違うのか、違わないのかを確認したくて始まったレポートですが、日本も広いことと、各地の海岸の特徴もわからず出かけても収穫が望めないこともあり、困っていたところですので大変助かりました。特に、2月、3月採集の2サンプルを頂けたことでサンプリングによる偏りが少ないことを確認出来たことは大収穫でした。私も三浦でこのことを追試する事とします。